百・花・音・乱

迷いの1本

花屋の仕事をしていますと様々な注文が入るもんです。
そしてそれなりにご用途に相当なものをお作りします。

出産に花を贈り、入学して花を贈り、卒業して花を贈る。
成人して花を贈り、結婚して花を贈り、死して花を贈るのです。

花と人生には密接に関係しているようにも思います。
当然かもしれませんが、作る際には相手のイメージや受け取った時の気持ちなんかを
想像したりします。
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ご注文のアレンジ。
間もなく天に召されるお方への贈り物。
自分の死期をある程度悟っておられる方らしく、何もお見舞い物なんぞいらぬとのことらしいのですが、
せめて花だけでもということで。

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人はいつか死ぬ。
死ぬ前提で生きる過程がある。
当然のことだとは理解しているのだが・・・

亡くなる前のお別れの花など作ったことはなく。
ましてやどんな心情で作れば良いのか見当がつかない。

もしかするとこの方にとって最後に貰う花になるかもしれない。
考えたくもないがこの花を見ながら・・・
そう思うと何も手を付けれなくなる。

きっとどんな花を作っても納得出来るようなものは出来やしないだろう。
そんな気持ちで花と向かい合うべきじゃない。

花は用意したが、果たしてこんなトロピカルで良いのだろうか・・・
バカにしてるのかと思われないだろうか・・・
南国気分を味わえと勘違いされないだろうか・・・
自分は花屋としてまだまだと気付きました。
てゆうか実際まだまだです。

でも迷いを打ち消したのは最初の1本の花を挿した時でした。
これほど重たい1本は始めてだったと思います。
結局何も考えずに作りました。
結果見事にトロピカルなわけで。
涙が出そうになりました。

上を向いて行きましょうか。
上へ上へ伸びたら何かありますよきっと。
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