百・花・音・乱

緑色の怪物

這いつくばって動き回るそれは全身が濡れたような緑色で、丸々と太った腹部とは対象にその足は異様に細く出来ており、重い体を引きずるようにもうすぐそれはやって来る。
目玉は狂気的に剥き出て頭部のほとんどの割合を占める。
睨まれてはいけない。二度と戻れなくなる。話しかけてはいけない。家に帰れなくなる。ついこの間も村の子がひとり帰らなかったばかり。里に降りて帰ってこなかった。
ただじっと息を潜めそれが過ぎ去るのを待つだけ。
もうすぐ日が陰る。生暖かい風の吹く月のない夜、音もなくそれはやって来る。
緑色の目玉に睨まれているのにも気付かずに昨日もひとり村の子の姿が消えた。
里に降りたっきり戻ってはこなかった。
道草をしてはいけない。日が落ちる前に山に帰ってしまおう。
そう思った矢先のこと。
それはもう目の前までやって来た。
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ぎゃー

今日もまたひとり村人がひとり姿を消す。 おしまい
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by hana-kanon | 2010-10-18 16:21 | 生物
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